転職コラム
2022/05/28

監査法人 – 転職時の書類審査、面接のポイント

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USCPAに合格された方の中には、監査法人への転職を考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。「レジュメや職務経歴書では何がポイントなのだろう」「面接では何がきかれるのだろう」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はそのような皆さんの疑問点にお答えしたいと思います。

改めまして、公認会計士の近衛(このえ)と申します。初めての方はプロフィール、過去の記事について、ぜひこちらをご覧ください。

「監査法人 – 海外勤務編 “海外派遣プログラムでグローバルに活躍してみませんか?」

「監査法人 – 海外勤務編② “志向に合った駐在国を選ぶには!?”」

「監査法人 – ワークライフバランス」

「監査法人 – IPOアドバイザリー」

「監査法人-M&Aアドバイザリー」

私は2014年から2020年まで、日本の監査法人で働いておりました。在籍時にはクライアント業務の他に採用活動の一部にも参加していました。また、監査チームに転職してきた同僚と転職活動や面接の様子について話す機会もありましたし、実際に監査チームではどのような人が活躍してるか自分なりに分かったこともあります。今回は、このような実体験に基づいた転職時の書類審査や面接におけるチェックポイントについてお伝えしたいと思い、記事にさせていただくことにしました。

今回の前提として、USCPAや日本の会計士合格者の方で監査法人に転職をご検討されている方を想定しています。FASやコンサルティング、税理士法人とは内容が異なる場合がございますので、あらかじめご留意ください。また、具体的な選考対策につきましては、アビタスのキャリアアドバイザーの方に個別にご相談するようにお願い致します。

採用選考を通して留意した方が良いこと

役割とのフィット感(特に関連業務の経験がある場合)

これは、これから応募するポジションの理想の人物像と、候補者の方がマッチしているということです。具体的には、まず募集要項をよく読んでいただき、仕事の内容と過去の経験・スキルがどのように合っているかを考えることが大切です。監査法人のようなプロフェッショナルファームの場合、ポジションごとの役割が明確に定義されていています。例えば、シニアの一例では、「やや複雑な会計処理の論点をマネージャーのアドバイスを得ながら独力で対応できる」などが挙げられます。この場合、例えばこれまで事業会社の経理部門で働いていた方であれば、減損損失などの非定期的で判断が要求される業務を担当していれば、応募するポジションとのフィット感を伝えやすくなるでしょう。また、経理マネージャーの指示のもとで、営業部門から情報を集めながらアカウンティングメモを作ったことがあるといった経験も非常にプラスになると思います。

論理的思考

次に意識していただきたいことは、論理的に書く、話すということです。監査業務におけるアウトプットは主に2つあり、1つ目は監査チーム内部で保存される監査調書と呼ばれる書類、2つ目はクライアントに共有する監査計画や監査後の報告書です。特に1つ目の監査調書ですが、これは監査人が会計処理の適切性について心証を得たことについて記録するもので、法人内の審査や外部からの検査によって閲覧される可能性がある文書になります。そのため、なぜその会計処理が妥当なのか、それをどのようにして検証したのかについて、他のベテラン会計士が読んでも納得する内容であることが期待されています。言い換えると、監査調書は我々の仕事が正しく行われたことを証明する役割もあるため、内容は非常に論理的で説得力のある構成になっています。監査チームに入ると、監査調書の作成にかける時間が多くなると思いますし、慣れてきたら自分一人で作成することが求められています。以上の通り、監査業務での重要なアウトプットが論理的に作られるものであるため、転職候補者の方が論理的な考え方や話し方ができそうかどうかは選考の評価ポイントの一つになっています。もちろん、未経験の方も多くいらっしゃいますので、過去に類似する文書を書いた経験を求めているわけではありません。ポイントとなるのは、質問に対して結論を簡潔に述べる、理由について具体例や数値を用いて説明することができる、必要に応じて構成分けや優先順位を工夫することができる、といったことが中心になりますので、そのような点を踏まえてしっかりと面接対策をすれば問題ないと思います。

志望動機

多くの場合、なぜ監査業界に転職したいのか、数ある監査法人の中でなぜ当法人なのかという順番で書く方が多いと思いますが、なぜその監査法人なのかという理由を考える際に少し悩むのではないかと思います。どの監査法人も同じようなサービスを提供していますし、企業文化の大きな違いも分かりにくいと思います。そこでお勧めしたい方法が、「クライアントの違い」という切り口で監査法人を比較する方法です。監査法人は主要な監査クライアントを公表していて、有価証券報告書なども見ていただければ、監査人の情報がすぐ分かります。監査法人ごとにクライアントを比較すると、より注力している業界や規模の傾向が分かると思います。そして、自分が関与してみたい業界や、これまで勤務してきた業界を踏まえて志望理由を書くと良いでしょう。実際に私はこの方法で志望動機を作りました。将来はグローバルに活躍したい、米国会計基準やIFRSを使った仕事がしたい、M&Aにも興味があるといったことから、総合商社をクライアントに持つ監査法人を志望しました。

自己アピール

USCPA合格者の方ですと、未経験から監査法人へのキャリアチェンジを目指す人も多いと思います。監査や経理の経験がなくとも、ポジションによっては応募することが可能ですのでご安心ください。※未経験者はおそらくスタッフ/アソシエイト職位になる場合が多いです。
未経験の場合の自己アピールですが、これまで経験してきた業界の知識や商習慣などは高く評価してもらえる可能性が高いと思います。監査人も常にクライアントのビジネスの理解に努めていますが、第三者という立場で関与しており、実際にその業界のビジネスはやったことがありません。一方で、近年では監査の中でしっかりとしたビジネスの理解に基づく監査リスクの評価が求められております。そのため、候補者の方が持っている経験や知識が特に重要になりますので、自己アピールの一つになると思います。
また、転職後しばらくすると、一つの監査クライアントの現場を任されるようになると思います。自分よりもジュニアの会計士を数名アサインされる場合もあり、監査現場をリードする立場になりますので、過去のプロジェクトマネジメントの経験やスキルがとても必要とされています。これまであまりそういった経験がない方の場合は、少なくともプロジェクトマネジメントにも意欲的に関わっていきたいという積極的な姿勢を見せると、面接官もプラスに評価しやすくなると思います。

英語

英語のスキルについてはとてもニーズが高くなっています。特に、外資系企業やグローバル企業の監査を希望される場合には、ビジネス英語が読めたり、前職で英語を使用した経験を求められることもあるでしょう。私は総合商社の監査チームを希望していたのですが、初めて受験したTOEICスコアは400点台という結果でした。そこから大慌てで英語を勉強し、内定時に700点台までになったことも評価していただき、希望の監査チームに入ることができました。このように、転職前は目標の英語力に到達していなかったとしても、学習意欲をアピールしたり、内定時までにスコアをアップデートするなど、できることはあると思いますので、ぜひ諦めずに取り組んでいただきたいと思います。特に、キャリアプランの一つとして監査法人での海外駐在にチャレンジしたい方は、早期からハイスコアを目指して勉強されることを強くお勧めします。※併せて、こちらの記事もご参考下さい。

「監査法人 – 海外勤務編 “海外派遣プログラムでグローバルに活躍してみませんか?」

まとめ

如何でしょうか。以下が監査法人の選考プロセスで留意すべきポイントです。
1.全体を通して、志望するポジションとのフィット感や論理的思考能力を伝える
2.志望動機を書く際は、監査法人ごとのクライアントの違いを比較・分析してみる
3.自己アピール、英語スキルについては、過去の実績がない人でも前向きな姿勢を伝える

いかがでしたでしょうか。今回は監査法人での転職時の書類審査、面接のポイントについてご紹介しました。

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Profile

近衛祐哉(このえ・ゆうや)
公認会計士、MBA(University of Southern California)

2008年筑波大学卒業。銀行で勤務した後、公認会計士試験合格。監査法人にて総合商社や外資系企業の監査に従事した後、ロンドン駐在。帰任後はロサンゼルスにMBA留学し、卒業後はシリコンバレーにある監査法人にてテクノロジー企業のIPO/SPACやM&Aにおける会計アドバイザリー、財務デューデリジェンスなどに従事している。

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