転職コラム
2019/07/11

【転職ノウハウ】USCPA転職活動④ BIG4移転価格部門、未経験者は対策・準備が内定に直結!

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vol.15 USCPA転職活動④ 「BIG4移転価格部門 未経験者は対策・準備が内定に直結!」

いよいよ新年度が始まりましたね。街を歩いていると新しいスーツに身を包み、緊張とこれから始まる新しい生活への期待が入り混じった表情の新社会人の方を多く見かけます。

新しい職場で働くというのは、いつだって何歳になっても身が引き締まる思いですよね。私達がご支援させていただいた方も、この春たくさんの方が新しい環境で将来のキャリアゴールに向かって良いスタートを切られました!

前回はBIG4税理士法人における移転価格部門の選考フロー・書類作成のテクニックをお伝えしました。

今日は後半戦、『面接』の対策を中心にお話していきたいと思います。将来移転価格部門を第一志望にしている方も多いでしょう。

ぜひ、本コラムも情報収集の一環にしていただければと思います。

面接の形式

BIG4税理士法人の中途採用における面接は、内定に至るまで様々な職位の方が面接官として出てこられます。前回(USCPA転職活動③)も触れておりますが、スタッフ・シニアスタッフ・マネージャーの計4名の方と30分ずつ行う2時間コースの1次面接もあったくらいです。

また、法人によっては移転価格部門内に外国籍のパートナーも在籍されています。その方が面接官を務める場合は、英文レジュメを提出の上、英語面接となるケースもございます。

ただし英語面接では「志望理由」「これまでの業務経験」「大学で学んだこと」といったオーソドックスな質問や、「休みの日の過ごし方」「趣味」といったエピソード的な質問が中心です。あまり難易度の高い質問や専門的な内容が問われることはありませんので、そこはご安心いただけるかと思います。

BIG4監査法人同様にオーソドックスな質問が多いですが、特に重視されるのは「なぜ移転価格アドバイザリーなのか」ということです。そのきっかけ・志望する熱量・正しい業務理解等を、様々な人間があらゆる角度と手法から選考することとなります。

これまで我々が支援した方々の面接においても、面接官のお人柄や選考方針によって面接のカラーはガラリと変わりました。特徴ある例を挙げるならば、ロジカル性を重んじ、フェルミ推定に近い問題をその場で出題する方。

『大学で得たことを3点挙げなさい』と簡単なプレゼンテーションを求める方。求職者の主張に対し、常に反対・懐疑的な立場から論を揺さぶることで、落ち着いて論を展開することができるかを見ようとする方。

どんな方が面接官になり、どういった面接カラーになる可能性があるかは、都度エージェントに確認いただくのがベストですが、どんな場合でも動じずにしっかりとご自分の意見を伝えられるよう準備しておきましょう。

メイン質問への対応

これまでの経歴の経緯と、経験内容

BIG4監査法人における面接対策の際にも触れておりますが、この質問は十中八九聞かれるもの。面接官によっては「大学での専攻内容」「新卒での就職活動の進め方(軸)」「現職での業務内容」といったことも質問される可能性があります。

移転価格部門を目指す方の中には、学生時代に移転価格税制に関するゼミに所属されていたり、卒業論文のテーマとされた方もいらっしゃるかと思います。後述の志望理由を話す際の布石にもなるので、学生時代のことを聞かれた際はぜひ移転価格との接点にも触れておきましょう。

現職の業務において移転価格と直接的な関わりを持つ仕事を経験された方は積極的にアピールいただきたいところですが、これまでご支援させていただいた方の多くは異業種・異業界出身です!

クライアントとの信頼関係を築く力に長けた「営業」のご経験や、クライアントを抱え、チームとして業務を遂行し、課題解決へと尽力する「コンサルティング」のご経験、こちらももちろん評価されうるところとなりますので、しっかりと先方に伝えてまいりましょう。

事前にエージェントと相談しながら、ご自身の経験の中で特にどこを押していくのか決めておくと安心ですね!

  • なぜ移転価格アドバイザリーを志望しているのか?
  • 移転価格アドバイザリーとして採用されなかった場合どうするのか?
  • 移転価格アドバイザリー以外のコンサルタントではダメなのか?

今回のコラムの一番の核心と言っても過言ではありません!とにかく移転価格部門を応募する際に重要になってくるのは「なぜ移転価格アドバイザリーなのか」ということ。

まずご自身が描いているキャリアゴールにおいて、「移転価格部門である必然性(その他の業界・業種での経験だとダメなのか?)」を問われます。

前回ご説明させていただいた内容(USCPA転職活動③)と重複する部分も多いですが、面接官によっては厳しい視点で追究されることもありますので、今一度ここでもしっかり押さえておきましょう!

①ご自身の経験に紐づける

一番内容としては考えやすいものかもしれません。

大学時代に専攻していた、ゼミに所属していた、事業会社において移転価格対応に従事していた、自身の会社が移転価格税制を指摘され追徴課税を受けてしまった…等、ご自身にとって「移転価格」に興味を持ったきっかけに紐づけながら、移転価格部門で専門性を磨きたい理由をアピールしましょう。

②専門性・プロフェッショナル性に繋げる
③国際性や業務の性質を自身の志向と結びつける
④業務の将来性

移転価格税制は近年注目された領域であり、業界としてもまだまだベテラン層が多いわけではありません。そのため本人の努力次第ではスピード感をもって上を目指すこともできますし、その領域においてプロフェッショナルとして名を残すこともできるかもしれません。

またその業務の特性上、国を超えて大きく業務内容や手法が変わるわけではないため、グローバルな視点で活躍できる業務でもあります。そして今後グローバル企業が増えていく中で海外の関連会社と取引が増えていけば、それだけ移転価格アドバイザリーが活躍する場というのは拡大すると言えます。

さて②~④の内容をざっくりと記載させていただきましたが、こちらももちろん志望理由の「要素」として加えていただくことが可能です。ただし我々エージェント側の感覚ですと、各要素を単体で押すのは弱さがあると言えます。

なぜなら単体の要素だけでは「それは他の業界・ポジションでも言えるのでは?」と先方に思われてしまう危険性があるからです。そういった観点から①ないしは②~④を複数混ぜ合わせながら、「移転価格でなければいけない」という理由を作り上げることが大切なのです。

  • 移転価格税制について説明してください
  • 移転価格税制における二重課税のリスクを説明してください。
  • 最近気になった移転価格・国際税制のニュースはありますか?

中にはこういった専門領域の質問をする法人もあります。ここで見たいのは①移転価格に興味を持ち、どれだけ自分から情報収集する姿勢があるか、②その事象に対して、どういった考え方・理解をしているのか、という2点です。

前者は移転価格部門を志望する上での本気度や熱意を測ります。「興味があるのならば、自分から動いて情報収集しているはず」という先方のスタンスも感じられます。

また後者は、貴方自身はそのニュースを読んで「何を考え、どういったことを思うのか」という、貴方の論理的思考力・理解力を測る意味もあるでしょう。

具体例として『最近気になった移転価格・国際税制のニュースはありますか?』という質問を取り上げてみましょう。

「株式会社●●●が国内で計上すべき所得を海外子会社に移転したとして、移転価格税制に基づき●年●月●日までの5年間に計80億円の申告漏れを指摘された。追徴課税は約35億円。同社は全額納付したが、国税局に再調査を申し立てる方針。

なお同社は▲年▲月にも、同社と米国の合弁会社との取引を巡り1500億円の申告漏れを指摘されている。」

最近新聞を騒がせた、こういったニュースを面接の場で取り上げたとします。そのニュースに対して面接官から意見を求められた際、貴方はどう答えるのでしょうか。

「追徴課税の額が大きいと思いました。」「二度も指摘を受けるなんて株式会社●●●の移転価格税制の対策は甘いと思いました。」と言った感想は、面接官としても物足りなさを感じます。

「感想」と「考え」は異なります。「株式会社●●●のビジネスモデルでは、どういった移転価格にリスクがありそうか」「追徴課税が企業にもたらす影響は」「なぜそういった問題が二度も起きてしまうのか」等、コンサルタントとして必要な素養の一つでもある問題を発見する力と、ビジネスセンスの視点から考えを導き出せると良いでしょう。

  • 忙しい業務となるが体力はあるか
  • チーム単位で業務を行う事に対する抵抗はないか

こういった質問に対しては皆さん、基本的に「はい」と答えることがほとんどかと思います。ここでは「はい」と答えることを前提に、そう言い切る理由についても言及できると良いでしょう。

移転価格アドバイザリーは、もちろんアサインしているプロジェクトの数や規模感によって忙しさの緩急はあります。しかしプロジェクトの締切が重なる時期は、どうしても業務の多忙さは右肩上がりに…。

そのため、そういった忙しさに耐性や覚悟をお持ちかどうかは先方も気になるところです。実際にエピソードを交えて「大丈夫です!」と伝えていただくと、先方としても忙しい時期も一緒に乗り越えていけるという安心感に繋がります。

また、これまで営業として勤務されてきた方の中には、チームプレイというより一人一人が独立してクライアントを持ち、交渉・商談・案件成約、フォローをしてこられた方もいるでしょう。

移転価格アドバイザリーはチーム単位で仕事に臨むこととなり、お一人で業務が完結することはありません。

仕事を分担し、他メンバーの業務状況や作成資料も確認しながら業務を進め、情報を共有していく必要があります。これまでノンストップ、且つご自身で完結できる業務スタイルだった方にとっては、自分だけで仕事が完結しないことにストレスを感じることがあるかもしれません。

そういったチーム内で足並みを揃えながら、プロジェクト完遂に向けて、進めていくことができる人間なのかをここで確認しているのです。

自分自身の強みをはっきりさせて面接に臨もう!

さて、以前移転価格アドバイザリーの業務内容・求める人材像をご紹介させていただきました。(USCPAの転職先②)ここで触れた移転価格部門の大きな採用条件は「会計知識」「語学力」の2点です。

それぞれどちらに重きを置きつつ、自分をアピールしていくのかはしっかりと考えておくことが大切です。
例えば日本におけるBIG4税理士法人の移転価格部門において、仕事の関わり方は大きく分けて2種類。「インバウンド」か、「アウトバウンド」か、ということです。

インバウンド

:外資系企業がクライアントであり日本法人(子側)のサポートを行う。海外にある親会社から依頼を受けたBIG4の海外ファームが指揮をとり、日本側のファームはその依頼に協力・対応する。

アウトバウンド

:国内企業がクライアントであり、親会社側をサポートする。プロジェクトに対し指揮をとる立場であり、海外にある子会社へのサポートは、BIG4の海外ファームに依頼したり、直接出張するなどして対応する。

上述の関わり方を見たとき、皆さんどちらの方が語学力/会計知識を使うと思いますか?

例えばインバウンドの立場であれば、日本法人は依頼される側となるため、業務における専門知識・量・負担共にアウトバウンドと比較すると軽くなるでしょう。

ただその一方で海外ファームからの依頼となるため、依頼を受ける・報告するといった一連の業務において英語を使う機会は多くなります。

逆にアウトバウンドであれば、親会社側のサポートとなるため、陣頭指揮を日本側がとります。そのため、同業他社分析・比較やクライアントから提示された社内資料(財務諸表・管理会計データ)等の分析において会計知識をしっかりと使っていきながら業務に臨むこととなります。

面接の際に「今後、どういったキャリアを目指すのか/どういった仕事をしたいのか」ということに触れる方も多いはずです。

その時に、ご自身の強みを踏まえた上で「語学力においてはビジネスの場で十分通用する力を兼ね備えていると思います。会計知見はまだ途上ではありますが、まずはインバウンド業務で強みの英語を活かしつつ、多くのプロジェクトにアサインして経験を積み重ねていきたいと思います!」というアピールの仕方もできるのです。

このように自分の活躍の場をイメージしながら話すことが出来ると良いでしょう。

ちなみにインバウンドやアウトバウンドの業務比率については、エージェントを通して確認することもできますし、面接の場で直接面接官に質問していただいても良いでしょう。

さて今回でBIG4税理士法人の移転価格アドバイザリーの説明はおしまいです。選考のイメージや具体的な対策方法について、イメージをお持ちいただけたでしょうか。

移転価格部門を受ける上で重要なのは「なぜ移転価格を志望するのか明確な根拠」「移転価格部門で働く際の具体的なキャリアビジョン」「専門的な世界・(時には)多忙な環境に飛び込む強い気持ち」の3点です。

そこを押さえていただきながら準備を進めていただくと良いでしょう。また初めての転職活動において、移転価格部門を応募される方は、お時間の余裕があるようでしたらエージェントの面接指導も受けておくと心強いでしょう。

さて次回はBIG4 FAS系のコンサルティングファームにおける中途採用の対策をお伝えしていきます!M&A領域にご関心をお持ちの方も多いはず、次回もご期待ください。

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