転職コラム
2019/07/13

【転職ノウハウ】USCPA転職活動⑥ 経理経験者も対策必須!アピールミスは命取りの書類作成

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vol.17 USCPA転職活動⑥ 「経理経験者も対策必須!アピールミスは命取りの書類作成」

さてこれまでは監査法人・税理士法人・FASとファーム中心のお話をしてきましたが、今日からは心機一転。

事業会社の各ポジションについて選考フローや対策方法をご紹介していきます。事業会社は全3回を予定しており、「経理財務」「経営企画」「内部監査」を取扱い予定です。

経理財務ポジションを目指す方のバックグラウンド

まず事業会社の経理財務ポジションを目指す方のバックグラウンドですが、大きく分けると3パターンに分かれます。

  • ①【キャリアチェンジ】事業会社の営業等、会計未経験 → 経理財務ポジション
  • ②【キャリアチェンジ】ファーム勤務 → 経理財務ポジション
  • ③【キャリアアップ】経理財務ポジション → 経理財務ポジション

①【キャリアチェンジ】事業会社の営業等、会計未経験 → 経理財務ポジション

①については第二新卒や20代を中心としたポジションが多いでしょう。

職位もジュニアスタッフ~スタッフ層となることが多く、年収レンジも300~450万円台の求人が多いかもしれません。

あくまでもポテンシャルや資格(日商簿記2級)を切り口とした採用となり、入社当初は日次経理業務から担当し、少しずつ領域を広げていくことになるかと思います。

②【キャリアチェンジ】ファーム勤務 → 経理財務ポジション

意外と多いのが②のパターンです。会計監査で経験を積むことで、「財務会計書類の成り立ちを理解し、視ることができる」人材として、今度は作り手側に転職する方もいらっしゃいます。

理由は様々で、「帰属意識を持って自社のために働きたい」「家族が出来て、ワークライフバランスがより整った環境で働きたい」と言った理由を挙げる方が多いかと思います。

③【キャリアアップ】経理財務ポジション → 経理財務ポジション

③については、USCPAで得た知識をより活かせる場へ転職するイメージです。

具体的には「ドメスティックな国内企業から英語や英文会計と密接に関わる外資系企業への転職」「非上場企業からIFRS適応企業や海外子会社を有する上場企業への転職」「縦割りで一領域しか担当できなかったが、より幅広い財務会計/管理会計の経験を積めるポジションへの転職」等が挙げられます。

中途採用における経理財務ポジションの選考フロー

書類選考

これまでご紹介してきたファーム同様に、応募書類は履歴書・職務経歴書の2種をご用意いただきます。外資系企業へ応募する際は英文レジュメの提出を求められるケースもありますが、国内企業であれば(大手グローバル企業であっても)ほとんどは和文のみで選考可能です。

事業会社における中途採用は、基本的には知識や経験の深浅はあれども何かしら業務に親和性のある方を求める傾向があります。

そのため、経験のマッチング具合を測る上でも職務経歴書の作成が合否の鍵を握るわけですが、希にチームの若返りを図るためであったり、若年層の育成に力を入れるべく『未経験可能/ポテンシャル採用』という募集を行うケースもあります。

社会人経験の浅い方、また業務親和性が少ない方は、「志望理由書」を作成いただいくのもお勧めです。

志望理由・自己PR・スキル/資格(この場合は日商簿記2級以上や、外資系企業であればUSCPA等)と言った項目を網羅いただけると、内容としては十分です。

適性テスト

適性テストについては、近年実施する企業が増えてきたように感じます。実施は、1次選考(面接+テスト)として同じタイミングで行うか、1次面接通過者に受験してもらうケースが主なパターンです。

内容はいわゆるSPI試験(性格・能力)や、企業独自で作成した問題で行います。この場合の企業独自問題は思考力を測る知能問題であったり、経理財務のスキルや知識を測るための会計領域の問題が多いでしょう。

面接

面接は通常2~3回を予定しており、順に「現場マネージャークラス+人事担当」「現場部長クラス」「役員」と面接官の職位が上がっていきます。事業会社においては、これまでご紹介した監査法人やFASのように1回で選考が完結することはほとんどありません。良くも悪くもイレギュラーなケースはなく、きちんと求人票に則った選考フローで進んでいくため、複数の企業を同時に応募して転職活動を進めていく方にとってはスケジューリングもしやすいかと思います。

一方でファームのように同一ポジションにて複数名採用することはなく、経理財務ポジションのようなコーポレート部門は原則1名枠の採用となります。そのため休日選考会や1day選考会といったイベントはないため、基本的には平日に面接を組むこととなります。

内定

通常1週間程度の検討期間があります。口頭のみで内定が伝えられることはなく、内定通知書(オファーレター)がメール添付で渡されます。通常書類応募~内定までにかかる期間は短い方で1カ月半、長い方で2カ月程度を要することがございます。

USCPAの応募書類作成ポイント

事業会社における中途採用は即戦力重視であることは、先に触れてきたところではありますが、応募書類作成においても、その点は強く意識していただく必要があります。特に職務経歴書重視となりやすいため、これまでの経験を丁寧に棚卸しすることが大切です。

  • ①スキルが書類で判断されやすい
  • ②そのため丁寧な経験の棚卸しが必要
  • ③面接を見据えて書類を作成する

経理財務ポジションを応募する際の3つのポイントを押さえて書くことができれば、そこまで不安に思う必要はありません!ここでは具体例を交えながら説明していきましょう。

ポジションに合わせた棚卸しとは?

経理財務ポジションと言っても、実は任される業務によって、求められる経験は異なります。

例えば「売掛金・買掛金担当」であれば、(会社の規模感にもよりますが)処理すべき書類の件数と言ったボリュームと、それを処理するスピードをアピールいただくと良いでしょう。

「300件/日」と言ったように具体的な数値を示すことが出来ると、よりイメージしやすくなります。

また募集ポジションが「連結決算担当」であり、ご自身の経験が「単体決算の主担当、連結決算補助担当」というステータスだった際、皆さんだったらどのように書類に記載するでしょうか。

経験の深い単体決算に関する内容を掘り下げてしまいがちですが、そこだけを強調しても「経理経験者ではあるもののミスマッチ」として捉えられかねません。

この場合は補助レベルであったとしても、連結決算にどの程度まで携わっていたかをしっかりと記載いただくことが必要です。

丁寧な棚卸しとは「行動ベース」で書くこと!

「丁寧な棚卸し」と言っても具体的に「何を」「どこまで」書けば良いのか悩む方も多いかと思います。

先程同様に「連結決算」を例にとって考えてみましょう。連結決算と一言でいっても「親会社」側なのか「子会社」側なのかで、扱う業務内容は変わってまいります。

以前添削させていただいた方は東証一部上場の子会社に在籍しており、その中で連結決算に携わっていた方でした。職務経歴書上、「連結決算主担当」とだけ記載いただいておりましたが、これだけでは先方は「連結パッケージへの入力を行い、親会社に報告していた」イメージを持つかと思います。

しかしよくよく話を聞いてみると、その方の在籍した会社は海外子会社(親会社から見れば孫会社にあたる)を複数持っており、彼は孫会社の数値を受けて連結の取りまとめをしていました。

また親会社がIFRS導入を検討しており、IFRSで連結決算するための準備を親会社側の経理・BIG4監査法人とチームを作り推進していたというのです。

「(子会社側での)連結決算主担当」という業務内容が、実は「海外子会社との連結決算(子会社と孫会社の関係性における親会社側の対応)」「IFRSでの連結決算に向けてプロジェクトチームに参画していたこと」という行動ベースの落とし込みによって、経験に深みと広がりが出たのです。

皆さんも我々のようなエージェントを使って転職活動をする際は丁寧すぎるくらいに棚卸しをしていただいて構いません!我々が添削をする中で、省略すべき内容や要約できるものは適宜アドバイスさせていただきます。

「大は小を兼ねる」とはよく言いますが、職務経歴書においても同じことが言えるのです。

一次面接・二次面接・最終面接で異なる評価視点

面接の回数については通常2~3回とお伝えしてきました。それぞれの面接で面接官の職位は異なりますが、同時に何を評価しているのかといったことも実は異なっています。

1次面接(現場マネージャークラス):

スキルレベルを現場側が判断する。「仕事を任すことが出来るか」「力となりうる人物か」といった視点から評価する。

2次面接(現場部長クラス):

チームメンバーとの親和性、どういったキャリアビジョン(将来の異動希望等)を持っているかを確認、マッチング具合を評価する。

最終面接(役員):

企業風土と合う人材であるか、人間性や考え方を評価する。

また面接の雰囲気についてですが、2次面接や最終面接で面接官を担当する部長や役員クラスの方は、人事考課面談を行ったり、新卒採用においても面接官を務めるケースが少なくありません。そのため面接官慣れしているケースもあるため、比較的応募した方の志向や経験を汲み取りながら、質問を通して内容を掘り下げてくれる可能性が高いです。

そのため面接を受ける側も「話しやすい/答えやすい」と感じる方が多い印象を感じます。しかし一方で現場マネージャークラスになると、面接官となる経験が部長や役員クラスより少ないため、(もちろん面接官の方の人柄次第ではありますが)面接自体が「淡々としている/ドライな印象/予定時間よりも早く終わってしまった/質問をあまりされず、自分から話すことの方が多かった」といった感想を抱く方が多いかもしれません。

ただファームのように「パートナーが複数在籍しており、誰が面接官となるか分からない」といったことがないため、事業会社の転職は面接官を特定しやすい傾向にあります。そのため面接官の雰囲気や情報等を、事前にエージェントに確認をしておくのも大切です。

なぜ転職しようと思ったのか(=志望理由)という質問への対策

経理財務ポジションにおいても当然のことながら志望理由は聞かれます。

特にその評価ウエイトはスキルレベルを評価する1次面接以降、2次面接・最終面接でより重みを増していきます。

どういったバックグラウンドから転職しようとしているかが、志望理由を語る上でも重要になってくるでしょう。ここでは前述の3パターンになぞらえながらお伝えしていきます。

①【キャリアチェンジ】事業会社の営業等、会計未経験 → 経理財務ポジション

「なぜ会計領域に行きたいと思ったのか」という視点を語ることが大切です。ご自身の中できっかけ等があれば、その体験を絡めて話すことができると説得力も増します。

最近では「営業として働く中で取引先の経営状況・信用調査をする機会があった。その際会計の視点が企業の健康状態を視る上でも重要だと思い興味を持った」という理由で、営業からのキャリアチェンジを成功させた方がいらっしゃいました。

またご自身の経験となかなか紐づけることができない方もいらっしゃると思います。経済学部や商学部に在籍していた方であれば勉強してきた内容と関連付けることもできるかもしれませんね。勉強していく中でどういったことが面白かったのか、今後は専門性を磨いていきたいといった志向性に繋げていけると良いかもしれません。

②【キャリアチェンジ】ファーム勤務 → 経理財務ポジション

ファームから事業会社の経理ポジションに転職希望される方の中には、一定数「ワークライフバランス」を最大の理由に挙げる方もいらっしゃいます。

もちろんワークライフバランスが転職理由の大きな核となるのは分かりますが、それをメインに持ってくるのは避けることが望ましいです。

あくまでも働き方の視点は補足要素に留め、出来る限り業務内容と関連付けた理由を述べる必要があります。一例ではありますが、具体的な切り口をご紹介しましょう。例えば「ビジネスにおける帰属意識」といった視点です。

ファーム特有の複数クライアントを抱える働き方ではなく、「自社のために何かしたい」という帰属意識(やりがい)をもって業務に臨みたいという方。アドバイスをするだけでなく、今度はそれを実現させるために「現場を一緒に動かしていきたい」といった方は、こういった自身と会社の関わり方を理由にしていただくことも可能です。

ファーム出身者に抱く懸念事項

専門性の高いファーム出身者に対して、実は事業会社側が採用する上で懸念している要素もあります。ここではこれまで事業会社側の人事や現場の採用責任者の方とお話した内容をご紹介していきましょう。

「定着性」:

これまでのビジネススタイルと異なり「クライアント」に対してではなく、「自社」のために結果や成果を出すという世界です。その風土に慣れることができるかは、先方も気にするところではあります。

その不安を軽減させるためにも、前述の帰属意識といった要素を志望理由に盛り込むことも効果的です。

「数字を作る」スキル:

これまでは「数字を視る」立場として勤務してきたかと思いますが、経理財務ポジションでは実際に作り手側になります。

仕訳から財務諸表の作成まで幅広い実務をこなすための理解や実務経験を持っているのか、もしなかったとしても早期キャッチアップが見込める人材なのかといった点は注視されているポイントです。

社内調整力・コミュニケーション力:

クライアントワークを経験しているからこそ、高い水準のコミュニケーション力をお持ちの方が多いファーム出身者。しかし事業会社側で勤務することは、プロジェクトベースでメンバーが入れ変わっていたファームと異なり、同じメンバーと長く働く環境です。

時には人間関係のしがらみを感じることもあるかもしれません。また経理財務ポジションは様々な部署と接点があるため、社内調整力や立ち回り方といった要素も評価されています。

そういった事業会社特有のコミュニケーションにも適応可能であることはアピールしておきたいところです。

年収ダウンへの覚悟・謙虚さ

ファーム出身者の方は、これまでクライアント企業から「先生」と呼ばれてきたこともあるかもしれません。「教える側」と「教えを請う側」であった関係性が、転職に伴い時として逆になるケースもあります。

(監査法人に入所したての頃のように)実務に慣れる上で、また企業理解を深める上で同僚や先輩に助けてもらうこと、指導されることも多いかと思います。そういった際に「一から学ぼう」という気持ちをもって取り組むことができるのか、その謙虚な心構えも大切な評価ポイントです。

また公認会計士としてファームでご経験を積んできた方の場合、年収面のダウンやオーバースペックであることから、企業側が書類選考の段階で敬遠することもあります。もし優先度が高い企業であり、年収面のダウンに対して問題がないようであれば、その点を強くエージェントから先方企業に伝えてもらうと良いでしょう。

③【キャリアアップ】経理財務ポジション → 経理財務ポジション

「前職とのギャップ」を伝えることが出来ると良いでしょう。そのギャップが直接的な転職理由になります。

ただし「人との折り合いがつかなかったから」「就業環境が劣悪だったから」といったネガティブな理由を前面に押し出すのは得策ではありません。何故なら不満中心で伝えてしまうと「この人は、入社しても気に入らないことがあると、すぐ辞めてしまうのでは?」といった定着率の低さを危惧されてしまうからです。

出来る限り前向きな理由や目指しているビジョンと絡めることが出来ると良いでしょう。具体例を挙げるのであれば、「CFO(最高財務責任者)を目指したい」「これまで縦割りの中で一領域しか担当できなかったが、今後は領域を増やしていきたい」「財務会計から管理会計も挑戦してみたい」といったものがあるかと思います

事業会社の経理財務ポジションに焦点を当てて、今日はご紹介させていただきましたが、皆さんイメージをお持ちいただくことはできたでしょうか。

最初にお伝えしたように事業会社は「即戦力」性を重んじるため、書類選考の段階から比較的シビアに選考は始まっています。

そういう意味では面接対策ももちろん重要ではありますが、まずは応募書類作成が最初の壁になるといっても良いかもしれません。ポジションによってもアピールできる経験が異なりますので、まずは丁寧に棚卸しをした後に、エージェントと相談しながら応募企業別にどのようにアレンジすべきか考えてみると良いでしょう。

次回は経営企画を応募する際のテクニックをお伝えしたいと思います。ご期待ください!

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